2019-11-04から1日間の記事一覧

狂気の自助へ③ -映画『サウルの息子』感想後編

(②からの続き) サウルはやはり、狂っていた。 でも、当たり前だ。人が、同朋が、目の前でゴミのように「処理」される。あまりにも無残に、そこにある感情も人格も無視されて、殺され消されていく。 しかも、その「処理」の手伝いを、サウルはさせられている…

狂気の自助へ② -映画『サウルの息子』感想中編

(①からの続き) 映画『サウルの息子』の物語の、もうひとつの導きの糸。サウルの「息子」埋葬をめぐる格闘の行く先へも、視線を移していきたい。 主人公のサウルは、ある男の子の顔を見て、その少年が自分の「息子」であると確信する。その少年は物語の冒頭、…

狂気の自助へ① -映画『サウルの息子』感想前編

映画『サウルの息子』を見た。http://www.finefilms.co.jp/saul/ 物語の舞台は、ナチスドイツの運営する強制収容所。そこは、ユダヤ人を集め、管理し、虐殺する場所である。 強制収容所で実行された空前絶後の大虐殺。この「事実」の物語が、映画『サウルの…