痴漢をめぐる論点(ツイッターより)④

前回の記事の続きです。

 

  • 痴漢被害の実態

あと大抵の男性は、「ほとんどの女性(半数以上)が痴漢や通り魔に遭った事がある」という統計じたいを知らず、「レアケース」か「女が嘘をついてる」と思うらしいのですが、これは学校で教えるかメディアでもたびたび流して、被害が常態化してるということをまず周知してほしいと思っています。

 

大抵の男性からすると、(ポルノではなく)犯罪としての痴漢の話に接するのは、報道されたときだけだろうから、少なく思えてるというのは分かります。でもたいての男性のお母さん、姉妹、娘、女友達、女の恋人も、おそらく痴漢にあったことがあります。

 

痴漢についてのツイがけっこうRTされてありがたいです。ただそういう人たちのホームを見に行くと謎のデマもRTしてたりして悲しくなります。一年間に女性のうち1割以上が痴漢にあい、うち9割が泣き寝入りしてるという、警察の資料こちら→

 

続)「なんだ一割か」と思うかもしれませんが、この統計での尋ね方は「過去一年間で」なので、「一度でも痴漢被害にあったことがある」女性の数はぐんと増えます。統計は色々あるので図書館にある『女性のデータブック』系のものの「性暴力」「犯罪」あたりの項を読んでみてください。

 

…ということで、痴漢被害が常態化している状況を前提に、話しを進めていきます。

 

こういう話しをすると、「痴漢冤罪が…!」という反応が出てくることを、どうしても意識してしまいますが…。

 

正直な話し、痴漢冤罪の議論について、僕はあまりフォローできていません。

 

偏見かもしれませんが、僕には痴漢冤罪を撲滅しようとする議論に血道を上げ、その議論を盛り上げようとしている方の一部が、「怒男性」「ミソジニー(女性蔑視)」によって突っ走っているだけではないか、と反射的に疑ってしまい、まともに考えようとする気が、これまでは起きませんでした。

 

僕は映画『それでも僕はやってない』も見ていないぐらいですから、痴漢冤罪の問題について、まともに考えたことがありません。それは正直に述べておきます。

 

ただ、痴漢冤罪で苦しい思いをした(今もしている)被害者の方も、絶対にいるはずです。「怒男性」だからと偏見を持って、この問題を考えることを止めるのも、きっとおかしなことなのでしょう。

 

なので、「もし自分が、痴漢冤罪の被害にあったとしたら…」ということもよく想像しながら、情報を集めつつ、今後ゆっくり考えていきたいと思っています。

 

 

 

 

  • 痴漢と服装

私も若い頃は今以上にダッサダサの、髪の毛ボサボサ、ブスの、ビン底眼鏡オタクだったんですが、それですら、(むしろダッサダサで田舎くさかったからこそ)上京してすぐ、満員電車で痴漢されました、相手をほぼ特定できるぐらいだったですが、満員すぎてすぐ逃げられたのと、怖くて声が出ませんでした

 

私も上京して初の痴漢、すっぴんベリーショートメガネジーパンに膝丈のでかいコートという超モサ色気ゼロ服だったので、ショックと混乱でどうにかなりそうでした。その後派手服+金髪+眉&耳ピアスあけまくりファッションになったらその時期だけ痴漢ほぼ無かったです。

 

そうなんですよね。私、「ズボンは痴漢にあいにくい」と聞いてから、わりとずっとズボンで(動きやすいのが一番の理由だけど)、さらに「絶対に捕まえる」と身構えてる+満員電車にあまり乗らないので、痴漢にあってないのですが、ズボンでも痴漢は来る、と聞いてます。

 

服装、地味な方向に持っていくのは痴漢避けにはぜんぜんならないと思いましたね。ヒョウ柄ミニスカガーターベルトみたいなファッションより、ジーパンとかデニムロングスカートの時のほうがぜんぜん変な人寄ってきましたもん。あとバイトの制服着てるときとか。

 

ああ…私は経験ないんですが、「本屋痴漢」「本屋盗撮」多いらしいですね。昔は監視カメラとかもなかったし… RT 小柄とかロングヘアとかでも遭遇しやすいんですよね。中学のとき本屋で痴漢にあうのがイヤでばっさりショートにしたら遭わなくなりました。

 

…前回までの記事でも、僕は基本的に「嗜虐欲に基づく痴漢」に焦点を当てて考えてきています。

 

この痴漢に焦点を当てると、加害者が被害者を選ぶときのポイントは、性的な反応よりも、「こいつは支配できそうか」「こいつは大人しそうか」というところになる。

 

その結果、地味に見える、大人しそうに見える、という方が、痴漢被害に遭ってしまうという場合も、どうも実態としてありそうです。

 

以前のツイートで見て、なるほどなあと思ったイラストはこちら。

 

http://livedoor.blogimg.jp/girokerogirokero/imgs/d/8/d8005edc.jpg

 

 

 

…ただ、だからと言って、個人の対策として、「なるべく派手そうな格好をしよう」「大人しくなさそうな格好をしよう」と呼びかけるのは、とってもトンチンカンなような気がします。

 

まず、服装を選ぶ自由は、大事だと思うから。痴漢被害に遭わないために、自分の意に沿わないような服装をするのって、どう考えてもおかしい。

 

というか、それぞれの女性には現在の生活世界の中で、そこで適応するために自分の服装をチョイスしているという側面が、多くの場合であるはずです。

 

「服装を○○に変えたほうが良い」というアドバイスは、現在の生活上、そうしようにもなかなかできない人が多数いることが想像されます。

 

そもそも、話しを服装や見た目のことに持っていくことは…。

 

「男を誘うような格好をしているから悪いんだ」という自己責任論的でかつ意味不明な言い分が理不尽であるのと同じように…。

 

「地味そうに見えるから、大人しそうだから悪いんだ」ってな理不尽な言い分に、つながってしまうかもしれない。

 

これはよーく考えてみると、滅茶苦茶におかしな言い分です。こう言われた人は、きっと、ものすごーく傷つくと思います。

 

だから、痴漢対策として服装の話しを云々するのは、あまり有益でないこととして、話しを進めていきます。

 

 

  • 被害に遭いそうになったら…

 

  就活の面接向かう途中、電車で隣席座ってきたサラリーマンに股間見せられました。キレたらすぐ謝った小心者とはいえ、駅員のいる車両まで1人で連行する自信はなく周囲の助けもなく、面接遅刻して痴漢云々て嘘て思われそうとか色々あって…何も出来ませんでした。悔しい。

 

私とか鍛えてないし動けない小デブなんで、痴漢や通り魔に反撃するのは、お恥ずかしいですが「加害者が弱そうで、時間がある」時だけです。自転車通り魔に遭った時、凄い弱そうだったので「何すんじゃゴルア!!」って追いかけたら脱兎のごとく逃げていった。ただ誰にでも薦めることはできません。

 

嗜虐欲に基づく痴漢、つまり、弱そうに見えるから狙われたのだとしたら、強気に反応すれば逃げていく可能性もある。

 

ただ、上記ツイートにもあるように…

 

「反撃、復讐されたらどうしよう」

 

「遅刻するなど、時間がない」*1

 

…などの要素が絡み、実際に行うのはとても難しいことが想像されます。次の方のツイートも、とてもありがたい情報です。

 

私は痴漢や変質者を追っ払ってたわけだけど、そういうのはな、絵面で見ると毅然ととかそういうんでないぞ。叫んだり傘だの鞄だの手当たり次第にぶん回し、目撃者がいないとまずいからそれを人前でやるわけだ。完全に見た目は凶戦士だ。スカートにヒールでは無理だし

 

完全に見た目は「凶戦士」。面白い表現を選んで書いて下さっていますが、ご本人のそうしているときの心境も含め、秀逸な表現だと感じます。

 

なりふりなんか構っていられないし、普段の自分や周囲の振る舞いと思いっきり浮いたって良いわけです。もう無我夢中で暴れる。「毅然」ととか、そういうのは意識しなくて良い。

 

…と、言われたって、実際やるのはとても大変でしょうね。小中高の頃に、SSTでこういう動きをする経験の機会を用意したほうが良いんじゃないかなあ、なんて思います。

 

そして、上記ツイートで注目すべき点。

 

「目撃者がいないとまずいからそれを人前でやるわけだ」

 

と書いています。目撃者がいない、つまり他に見ている人がいないで暴れると、反撃されるかもしれない。こういう判断力が、大前提として必要なわけで…。

 

もはや、被害に遭いそうになった方の、個人的な対策を考えるということ自体も、極めて慎重にならざるを得ないのは明らかです。

 

もしできるならば、他にも人が見ていることを確認したうえで、無我夢中で暴れると良いでしょう。

 

でも、できなくても、責められることではありません。それは、とても判断力がいることですし、とびきりの勇気がいることです。そのときの服装などによる制約もあるわけで、そういう行動に出ることができるような条件にあること自体、限定的であると見なければなりません。ですので、反撃の行動に出ることができなかったとしても、その人を責めないようにしなければならないでしょう。

 

 

軽くネットサーフィンした程度ですが、こちらのサイトは、対策としてシンプルで分かりやすく整理されていました。

 


電車の痴漢犯罪対策室

 

 

 

  • 痴漢を見かけたら…(痴漢かも、と思ったら…)

こ…怖い!! 私、だいたい満員電車で痴漢に遭ってて、「空いててもにじりよってくる、逃げても追ってくる」タイプには遭ったことないのですが、(どちらがより怖いとかじゃないですけど)本当に逃れようがない…どう見ても困ってるのに、誰も助けてくれないなんて…。 

 

上記で見てきたように、痴漢被害に遭いそうなとき、周囲に人の眼があることが、とても大切です。ですので、今度は「あ、この人、痴漢されている(かも…?)」と思うような、痴漢被害者の周囲にいる人の立場に立って、考えてみます。

 

上記のツイートにもあるように、「誰も助けてくれない」と思われるような、周囲の反応もあり得るわけで…。こういうことがないように、電車に乗っているときなどは、僕たちはどうあれば良いのでしょうか?

 

 

 

 

…というところで、ちょっと一区切りします。以前ツイッターで、この問題を考えるのに良いつぶやきをリツイートした記憶があるので、それを探しに行ってくる。

 

最近の一連の記事は、書きながら考えているので、冗長だったり話しが飛んだりしていると思います。

 

次回かその次あたりにラストになると思うのですが、一通り書いたら、まとめとして、もう少し分かりやすいかたちで、自分の考えたものをあらためて整理しようかなあ、なんて妄想しています。

 

つか、僕の冗長な考察を混ぜるより、一連のツイートをカテゴリーに整理して載せることに集中した方が良いのかな? などと思ったり。

 

 

とりあえず、下記に、参考にしたい金田さん(とそのやりとり)のツイートの残りを、列挙させていただきます。

 

ということで、(たぶん)続きます。

 

 

 

 

 

  • 痴漢被害の相談に乗るときは…

あと痴漢はまだしも「露出魔」に関しては個人によって、被害の感覚が全然違う人が居て、「むしろ見て辱めてやればいいじゃん」「お前も大人なんだからビシッと『短小!』とか言ってやればいいじゃん」など、また頓珍漢な、他人事なアドバイスをする人がいます。それが出来たら相談してねーんだよ。

 

そうなんだよなー。「痴漢とか通り魔とか、被害者がしゃきっとしろ!」系の物言いありますけど(自分も言ってしまったことあり)、まず急いでるとき用事を後回しにしてまで、全力で逃げようとする加害者を駅員や交番まで連れていくのは本当に難しい。あと報復が怖いというのもありますよね。

 

 

 

 

 

 

  • 社会は、痴漢加害/被害対策をどう講ずるべきか

本屋・図書館は多いと聞きますね。それである図書館が苦肉の策で(ホームレス問題も加味して)女性専用席を設けたみたいで賛否両論ですが、そもそも性犯罪者をどうにかできないものか…と悩みますね。職員の巡回を増やすのは一手ですが、人件費に響きますしね。  

 

この「車に乗ってやってくる勃起男」のこと思い出すと、「大人が子どもに声かけするのを禁止する条例」「声かけられても返事しちゃいけない」とか(はじめはちょっと大げさかなと思ったけど)そこまでしなければ子どもを守れないと思った地域の人たちの気持ちもわかるんですよね。 

 

 

*1:前回、「痴漢被害が相談できない」状況について書きました。この状況が、通勤中などに痴漢被害に遭ったとき、悔しいけれど被害の事実をスルーしてそのまま我慢したり、他の人にもそのまま相談せずに放置させてしまう環境をもたらしています。現在よりもさらにさらに、痴漢被害にあったことをしっかりと周囲に喋れる環境さえあれば、痴漢被害に遭ったときも、様々な対策が打てる時間的・精神的なゆとりが得られることになるでしょう。