痴漢をめぐる論点(ツイッターより)⑤

前回の記事の続きです。

 

  • 痴漢被害と周囲の眼

 

痴漢被害に遭ったとき、周りに人の眼があるかどうかはとても重要です。

 

誰も見ていないところで、痴漢に対して抵抗すると、復讐されてしまうかもしれないからです。

 

紹介するのもおぞましく、恐怖をあおるようで、ここで挙げるのも若干躊躇するのですが…。1988年には、こんな事件もあったようです。

 

地下鉄御堂筋事件:

大阪府/人権学習シリーズvol.6 同じをこえて その「ちがい」は何のため? 女性専用車両で考える特別な措置/解説資料(コラム)

 

周りの人の対応がいかに重要であるのか、痛感させられる事件です。

 

なお、上記コラムの文章の内容も、示唆に富むものです。

 

「駅員(できれば女性)を増員し、女性の性暴力被害を防ぐと共に、被害があった場合は迅速な対応を行う」べしという提案は、今日でも参照されるべきではないでしょうか。

 

また…

他の関西私鉄各社にも同じ要望書を送付し、返答を求めたところ「性を前面に出したくないので、迷惑行為はやめましょうというキャンペーンにしている」などの回答が返ってきました。この回答には、実際に痴漢に苦しめられている女性が多いにも関わらず、それを見て見ぬふりをする鉄道会社の姿勢が表れていました。

…という分析や、

 

大阪府警関西鉄道協会が制作した「痴漢行為にあったら、勇気を出して大きな声を出しましょう」という趣旨のポスターは、同会の主張である「女に注意を呼びかけるのではなく、男に痴漢をやめろと呼びかけるべき」と全く相いれず、性暴力を行う男性に甘い社会を浮き彫りにしました。

という分析も、社会が示す痴漢被害への理不尽なリアクション例を、よく照らし出していると感じました。

 

 

  • 被害を見つけたら…(「あ、この人、痴漢されているのかも」と思ったら…)

さて。

 

ということで、痴漢被害は常態化しているため、電車等に乗ったときは、自分の近くでいつでも被害が生じているかもしれない。まずはそういう意識を持ちたいところです。

 

 

 

では痴漢被害を見かけた場合ですが、まず正論として。

 

「あ、痴漢されてる!」と思ったら、周りは「おい、何してるんだ!」とすぐに声を上げるべき。

 

特に、基本的に体格差の上で優位にある男性が、それを率先して行うべき。

 

これは、まずは当然のことと思います。

 

 

 

ただここで、あえて恥を曝しますが…。

 

もし僕自身が、痴漢被害を目撃し、すぐに堂々と「何をしてるんだ!」と声を上げられるか? と問われると、少し自信がないです…。

 

なぜなら、僕はとても臆病だからです。体格も立派ではない、弱々しいメガネ男。幼い頃から、殴り合いのケンカどころか、口ゲンカもろくにしたことがない。だから多分、痴漢の加害者に僕が何か言おうとしても、震え声になるでしょう。情けないですが…。

 

また、リアルに想像すると、「本当に痴漢されてるのかな?」という迷いがあると、行動に躊躇が出るでしょう。勘違いだったら、そして勘違いなのにヘンに手を出した結果、トラブルに巻き込まれたら、どうしよう…。きっと、そんな躊躇も生まれそうです。

 

…あとは、実際にそういう場面に接してみないと、自分がどういう行動をすることができるかは、わかりません。痴漢被害者が毅然とした行動に出る必要はない(というか、そんなのは無理な場合が往々にしてある)という話しを前回はしましたが、第三者として目撃している場合は、僕自身が痴漢の被害に遭ってるんじゃないんだから、できれば「毅然と」行動したいなあ…。そういうカッコいい「人」(「男」じゃなくて!)になりたい。

 

 

 

 

なお、以前ツイッターで見かけて、気にかかっていたツイートを掘り出してきました。

犬越 on Twitter: http://t.co/kzFzd8ZAxU"

 

(1)痴漢に接触されたら、ハンカチに口を当てて具合悪そうに振る舞う

 

(2)周囲の人は、「具合悪そうに見えますけど、大丈夫ですか?」と声をかける

 

…この意見は、とても参考になるなあって思いました。

 

僕が目撃者になったときでも、毅然として声をかけることが難しかったとしても、(2)の「具合悪そうに見えますけど、大丈夫ですか?」と声をかけることなら、きっとできそうです。

 

別に被害者の方がハンカチに口を当てていなくても、「疑わしきは行動」の精神で、積極的にこのように声をかけても良いんじゃないかなあ。

 

実は勘違いで痴漢にあっていなかったとしたら、声をかけられた方はキョトンとするだけでしょうし(そしたら「ごめんなさい、勘違いでした」で済む)。

 

この方法を紹介してくれた犬越さんは、「事後対策である事や協力者が見つからなかった時の次の手がない事が気に掛かってます。なんとか発展させたいんですが… 」と言っています。うむー、確かに。

 

この方法だと、加害者を捕まえる、という方向にはあまりならないでしょう。それが問題と言えば、問題か…? 大事(オオゴト)にしたくないという、日本人の多数派が好みそうな方法であることは否めませんが…。

 

でも僕は、窮余の策としてのこの対策を積極的に支持したいです。ここまでの考察で痛感しているのは、痴漢被害に対する周囲の人の無知や無関心が、何より痴漢行為を蔓延させていると思うから。

 

自分に自信がない人であっても、自分のできる範囲で、痴漢被害の撲滅に関わっていこうと思うこと。そして、その気持ちを行動に表す人が増えることが、とても大切だと思うからです。

 

melさんも、9/4のツイートでこのようにつぶやかれています。

 

mel on Twitter:

それと、痴漢に遭ってる人に気づいたら、痴漢のことには触れずに「具合悪そうですが大丈夫ですか?」とさりげなく声をかけるというの、この前他の方もツイートしてたけど、声かけるほうもかけられるほうも抵抗なくやりやすいと思うので、こういう助け方も広まるといいと思う。

 

もちろんそれは痴漢の罪を不問にするという意味ではないのだけど、現実として痴漢に逆切れされるかもとか、まわりの他の人は協力してくれないかもという不安がある以上、そういう「痴漢のことには触れずに助ける」というやり方も必要だと思う

 

少なくとも、僕個人はこの方法を自分の頭に叩き込んでおこう。

 

多くの女性も、痴漢に遭遇したら「ハンカチで口を覆う(具合悪そうに振る舞う)」「しゃがみこむ」「吐きそうなフリをする」などの方法を頭に入れておくと、きっと良いのでしょうね。

 

こういう方法を、多くの人に周知するには、どうしたら良いのかな…。

 

今回の痴漢に関する一連の記事を書き終えたら、ここまでの考察を踏まえて、使いやすい痴漢対策(被害者用、目撃者用両方の)のまとめ記事を作ってみるとか。初見の人でも分かりやすくて、検索でも引っかかりやすいようなものになるように工夫して。

 

つか、僕が知らないだけで、そういうサイトが既にあるんでしょうかね? もしどこにもなくて、僕にやれそうだったら、やってみます。

 

 

 

なお、犬越さんは、次のようなツイートもしてくださっています。

これ何回か呟いてますが、私が電車内で遭遇して被害者(女性、しかも妊婦さん)を救出した痴漢案件は、性的接触ではなく「ゼロ距離ガン見」でした。夫婦かと思ってしばらく悩んでしまった為に声掛けが遅れたのが本当に悔やまれる…。

こんな痴漢の例もある、と…。嗜虐欲に基づく痴漢ならば、こういう例もあるような気がします(相手が逆らえないことを良いことに、不快なことをし続ける…)。

 

周囲の人が、「あれ、おかしいな」と思ったときは、すぐに行動に移せることの大切さを、痛感させられます。

 

 

さて、痴漢に関して考えたい論点として、あとは「痴漢被害を相談されたとき、どうすれば良いのか」と、「社会的な対策として、痴漢とどう向き合えばよいのか」というトピックが残っています。

 

さらに、過去のツイートを発掘していたら、紅蓮の猫さんの一連のツイートがありました。


紅蓮の猫さんによる、電車内痴漢についての実態と対策調べてみた - Togetterまとめ

 

このことについても触れた上で、金田さんのツイート(とそのやりとり)の社会的な対策に関するものも抜き出しつつ、考察を続けていきたいと思います。

 

ということで、(きっと)続きます。