映画

狂気の自助へ③ -映画『サウルの息子』感想後編

(②からの続き) サウルはやはり、狂っていた。 でも、当たり前だ。人が、同朋が、目の前でゴミのように「処理」される。あまりにも無残に、そこにある感情も人格も無視されて、殺され消されていく。 しかも、その「処理」の手伝いを、サウルはさせられている…

狂気の自助へ② -映画『サウルの息子』感想中編

(①からの続き) 映画『サウルの息子』の物語の、もうひとつの導きの糸。サウルの「息子」埋葬をめぐる格闘の行く先へも、視線を移していきたい。 主人公のサウルは、ある男の子の顔を見て、その少年が自分の「息子」であると確信する。その少年は物語の冒頭、…

狂気の自助へ① -映画『サウルの息子』感想前編

映画『サウルの息子』を見た。http://www.finefilms.co.jp/saul/ 物語の舞台は、ナチスドイツの運営する強制収容所。そこは、ユダヤ人を集め、管理し、虐殺する場所である。 強制収容所で実行された空前絶後の大虐殺。この「事実」の物語が、映画『サウルの…

寂しさと、共に笑い合う町 -映画『ひいくんのあるく町』感想

ドキュメンタリー映画『ひいくんのあるく町』を見る。http://hikun.mizukuchiya.net/ 舞台は山梨県の小さな町。知的障害の男性「ひいくん」が、町の中でいきいきと生活している様が描かれていた。 この映画は、言葉ではあまり説明しない。映像によって、様々…

キョドるマックス ―『マッドマックスFR』の物語について、書きながら考えたこと 3

第三章 招待 3-1 予告編 『マッドマックス 怒りのデスロード』(原題は『Mad Max : Fury Road」。以下、MMFR)という映画がある。まずは、この映像。 <参考> ・「映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編」『YouTube』2015.4.9 https://www.yo…

キョドるマックス ―『マッドマックスFR』の物語について、書きながら考えたこと 2

第二章 経緯 2-1 杉田俊介さん 杉田俊介さんの文章を、ずっと読み継いできた。飽き性で多動の僕が継続してきた、数少ないこと。杉田ファンというより、『ザ・ファン』。杉田さんの文章は、僕のストーキング対象であり、僕は「杉田文体依存症者」である。 …

キョドるマックス ―『マッドマックスFR』の物語について、書きながら考えたこと 1

第一章 僕のこと …昨日の夜、パートナーと深刻な口喧嘩をした。僕の被害者意識が原因で。 相模原障害者殺傷事件。トランプ現象。マジョリティ(…って誰だ?)の人の心の中には、不安や不満が渦巻いているらしい。自らの不安や不満の底から目を背け、別の何か…

愛と暴力

ツイッターでいただいたお言葉からのレスポンスとして。 色々と思うところがありますが、じっくり書きながら考えるのはまた今度に。 考える材料にしたいと思っているものを以下、3点に列挙しておきます。 森岡正博さんの議論:性交、暴力、原罪 「膣内射精性…